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一方、こうした状況に対して関係者は「出版界がもっと電子書籍に前向きな姿勢を見せないと、著作隣接権の獲得も危ぶまれるのでは」と危惧する。
冒頭でも述べたが著作隣接権の取得は出版界の長年の悲願である。過去に一度は改正案までたどり着いたのだが、当時の経団連の猛反対によって挫折したという経緯がある。それから20年以上が経過し、当時を知る関係者のほとんどが内心、権利取得を諦めていた。そこに、デジタルという新しい潮流とともに外資という圧力も加わって、再び脚光を浴びることになった著作隣接権。ケータイキャリアやヤフーなどの企業が経団連を通じて反対を表明しているが、違法とみられる自炊代行業者は今も増え続け、デジタルや紙の出版物の海賊版が中国やアメリカで横行しているのが現状である。紙による出版物の売上が落ち込んでいる今こそ、新たな収入源のひとつとして期待しているデジタル市場で平等な競争ができる環境を築かなければ、ますます出版業界は干上がってしまう。
出版関係者は、役人が嫌がる議員立法という手法を使ってでも、この千載一遇のチャンスをものにすべきだろう。今がまさに出版社存亡の分水嶺なのだから。
(文=碇泰三)
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